今日の四日市の都市環境を損なっている要素として、−−」にはコンビナ−トがある。しかしもう−つ重要要素に、車というものがあるのでは。大気を汚染しているのみならず歩行環境をきわめて貧困なものとしている。
自動車交通を抑制していくことは。四日市の都市環境を改善し、さらに地球環境を守るためにも重要なテ−マ。
つまり、これまでの車対策は、自動車交通量を与件とし、それを受け入れられる器づくりに没頭。
これからは、自動車交通量そのものを抑制していく必要がある。そこで・・・
本日は、「公害地域再生、四日市のまちづくりについて」考えるヒントとして。さまざまな自動車交通抑制策を紹介する。
大きくは、次の三つに分類できる。
以下、解説。
わが国ではl900年ごろより“市電″、敷設。60年ごろには重要な都市内交通機関に。しかし−
自動車交通量が増大し、次第にじやまもの扱い。60年代半ば、自動車の執道内乗り入れを許可したことで、一気に崩壊。軌道撤去し道路に。
こうした市電の衰退は欧米も―時は経験。しかし70年代より復活。今やもっとも注目される交通機関に(Light Rail。Train=”LRT”)。背景…
自動車交通抑制の必要性に対する合意基本。そのうえでLRTは、大気を汚染せず。定時性を確保しつつ比較的大量の人員を輸送できる。かつ安い。比較)地下鉄
70年代、郊外と都心を結ぶのに、幹線道路を作るか市電を敷き設するか、大論争。→LRTに決定。86年開業。
ポ−トランド市が設立したトライメッ卜が経営。ピ−ク時7〜l0分間隔、
オフピーク時I0分間隔。中心街の一角は運賃無料。各駅に車イス用リフト設置。
現在都心への通勤の4O%分担。延伸計画中。
LRTの郊外駅周辺にば無料駐箪場。家から駅までほ車。ここで駐車して後はLRTで都心へ、(“パーク&ライド方式”)。
なお、9月5日放映のNHKによれば‐
路面電車は日本でも復活の気運。熊本ではドイツ式超低床車両を導入、ラッシュ時には2分間隔で運行。建設省も今年度より補助制度をつくったとのこと。
日本のバス経営。今、どこもたいへん。都市部では、自動車増によるスピード低下
利用者、減→サーピス低下→利用者、減→・・・と悪循環。高料金でガラ刀ラのバスをよく見かける。
対策
専用道路の整備
欧米では、“トランジット・モ−ル”=バス専用道路を整備。
比較》日本のバス専用レ−ン
運賃体系の工夫
・ポートランド
中心街のー角は無料。
・サンフランシスコ湾岸地域
バス<−>バス、バス←−→市電の運賃、割引き。
公的補助の拡充
トライメットの場合、運賃収入は全収入の22。l%で、67。5%は所得税。
比較)日本の主要都市では、運賃収入が83%。
日本では自転車の交通機関としての位置付け、非常に低い。
欧米では未来の交通機関として、交通政策の中に積極的に位置付けている。具体的には…
@バス・市電ヘの持込み許可
事例・・
A放直自転車の普及
ポートランドの市民組織が実践。I00台の黄色い自転車を主要道路沿いにばらまく。だれでも利用、可。
自転車・徒歩対策として…
B自転車道・歩行者道の整備
大規模・広域的整備が取り組まれている。
ドイツのエッセン、ミュンヘン
日本では、バスと鉄道の中間的交通機関として、しばしば“新交通システム”が提唱。四日市でも両四日市駅、四日市港を結ぶ路線が計画。特徴…
@専用軌道 A車輸はゴム夕イヤ B動力は電気
しかし・・
相当大規模な高架構造物が必要。→広幅員道路を要し、建設費がかさみ、かつ景観を破壊。また、けっこうエネルギ一を食う。
2。車の使用を抑制する |
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車を使うのが不便な情況、車を使うと不利な状況をつ<りだし、その使用を控えさせる。
都市の周囲に環状道路を整備。内部はいくつかのゾ一ンに分割。自動車はゾーン間の移動、できなくする。かつ、環状道路・各ゾーン間の出入口は、数制限。
事例・・
・オランダ・ハウテン市のニユー夕ウン
93年完成、人口3万。
郊外より都心部に入る車から料金を取る。
事例…
・ノルウエ一・オスロの、″トール・リング(TollRing)”
90年2月より実施。都心から2〜8kmの所に料金所l9ヵ所設置。
都心に入る車は必ずどれかを通過、料金を払う (自動化)。
郊外から
このように自動車交通抑制を目的に、道路の使用に対し料金を負荷する仕組みを“ロード・プライシング”という。現在、世界各地で模索中。
@企業による通勤交通の相乗り奨励
事例・・
・ロサンゼルス大都市圏
88年8月施行の条例により、従業員lO0人以上の企業は「通勤自動車削減計画」を定めることが義務付け。このII$でもっとも広<採用されている手法が、相乗りの奨励。具体的には…
・帰宅保証制度
・相乗り車への駐車場の優先配分、駐車料金の軽減
・相乗り相手探し など
A相乗り専用レーンの整備
日本の場台、駐車施設の附置義務条例、定めている自治体、多。車の使用を助長している側面。これに対し…
欧米では逆に、駐車場の収容台数の上限を決めるようになってきている。
事例…
。ポートランド都心部75年より駐車場、総量規制。かつ、土地利用の用途別に最大許容量設定。さらにオフイスについては地区ごとに値、違えている。
また青空駐車場は規制。駐車場ビルも1階部分には店舗、義務付け
3.土地利用を操作する |
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つまり、公共輸送機関の周囲に密度高<、住宅、オフィス、商業施設など多様な用途を複合的に集積させる(Transit 0riented Development=“TOD”)
こうした計画論、今や都市計画の一つの大きな流れとなりつつある。
事例…
・ポートランド
94年、議会承認を受けた「リ一ジョン2040』の基本方針・・
・ 「都市地域内において、職住近接型の小規模都市を形成する。」
・ 「公共交通機関の発着点のそばの、都市圏の中心部において、人口増などの都市成長を促す。」
・ 「交通運輸においてはその中心を公共交通機関(路面電車)に置き、その駅や停留所に自転車や歩いて通えるような通路沿いに発展を促す」
*『サステイナブル・コミュニティ』より
つまり、交通需要の発生総量を抑えこむ。
事例・・
・サンフランシスコ
85年、容積率の切り下げ(ダウンゾーニング)。86年には住民投票で、オフイスの年間建設許可面積に上限設定。
・シアトル
89年、中心部の容積率、半分に。かつオフイスの年間建設許可面積に止限設定。
比較)日本では今年、高層住居誘導地区など大幅な規制緩和制度、創設。
●以上三つのクルマ抑制策は組合せて実施されている。また、産業界からの強い反発があったであろうにもかかわらず、実現できた背景を考える必要。
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