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蛍二十日に蝉三日(ほたるはつかにせみみっか)

  伊藤三男

 猛暑の夏もそろそろ終わり、あとは秋の残暑を恐れるばかりとなってしまって、今頃どうしたというわけだが、粟屋さんのメールには「・・・から補正してもらえば」とあるのは「ちゃんと報告しなさい」の意だと反省し、私なりに感じたことまとめてみるとしよう。
 ことは8月17日に四日市市長・井上哲夫氏との「市民対話」。ここまでのいきさつは説明するまでもないが、四日市市の「ホタル悪用、イメチェンキャンペーン」についての変更申し入れである。7月22日の「市民の集い」で採択されたのだから、絶対にサボるわけにはいかない。本来ならもっと早く「市長に会わせろ」と押しかけるべきだったが、元来、控えめな我々は市の公式ルートである設定に乗っかりわざわざ事前申し込みをして、市長との対話を実現させたのである。これはこれで良い経験で、四日市市民はもっとこの手を有効に利用すべきではなかろうか、とまずそう思う。
 さて、順を追っていくつか整理してみる。

@ テープレレコーダーの件はOKするかどうか半信半疑だったが、開始前、担当の服部良一さんは軽はずみか「あ、そうですか。私らも記録とらせてもらいますので」と発言したのだが、どうもまずいと気づいたのか「市長さんのご意見を伺ってから」とトーンダウン。案の定、井上市長は「前例のないことですから」「皆さんにルールには従ってもらっていますから」と拒否。こちらもこのことに拘りすぎる気もないし、時間もない。一応、市長の反応も確かめることはできたので引き下がる。
まあ、「どうぞかまいませんよ」という太っ腹は期待していないのだから。
A 四日市市はかつては提訴をされ判決も出たが今は住みよいと知って貰いたいので、今回の「作戦」となった。こういうことをするのが市長の仕事だ。
B 年金生活者にとって住みよい街全国5位というデータも出ている。
C 大矢知の産廃は人的被害は出ていない。「人の生命に影響は出ていますか」(と、ややムキになって開き直る)。
D 石原のフェロシルトだって撤去しているではないか。石原はずっと努力をしている。
不安かどうかは人さまざま。3千億の費用もかけている。努力をしても出てくることはある。      

 実はこのやり取りの中で、若干気色ばんだふうの井上市長が「あなたたちは四日市を公害の街と決めつけたいだけ」と“失言”をしてしまった。失言というのは怖いもので、多くの政治家の場合がそうであるようにそこに“本音”がみなぎってしまうのだ。そりゃ、いくらなんでもひどい言い方ですよ、と穏やかにたしなめたところ慌てて「ちょっとまずかったです」「今のは取り消します」となった。
 この部分は「取り消します」と謝ったので、私・伊藤は内密にしておいてやろうかとも思いやったのだが、さすがは粟屋さんきっちりと暴いていただいた。

E ポスターの中身について「川端柳・・・」の線に沿って具体的に指摘。
そもそも「楠」は合併で組み込まれただけ。ホタルと大気汚染(四日市公害)
はもともと因果関係がない。あの写真のアングルは同一箇所からは不可能。
等々指摘したが、露出の関係でずらして撮ったがあそこから見える。来年行って見て欲しいとおっしゃる(今年見てきたといったらそれっきりだったが)。
F 資料館の件を水俣を例に挙げながら要求したが糠に釘。粟屋さんがたくさん資料を手渡したがおそらく目を通すことはあるまい。

と、言った具合でこれといった「収穫」はない。そもそも20分という時間などあっという間に過ぎてしまうのだから仕方がない。いずれにしてもいくつかわかったこともある。

1, 井上氏は結構感情的になりやすい面がある。
2, 産廃やフェロシルトで何故企業に対して怒りを持たないのかと思っていたが、何のことはない「企業擁護」の立場であることが改めてはっきりした。
3, 「四日市が生活しやすい街になっている」と強調するが、22日の「集い」で四日市大の学生が報告した市民感覚とはかなりのズレがある。
4, この「市民対話」に我々のような意見(公害関連)が登場したのは、どうも初めてらしい。その点でも市民のこれまでの関わり方が薄いのは残念。
5, しかし、これで「市民塾」の名は市長の中に入ったわけで、ある意味では今後の対市交渉はやりやすくなったともいえる。

 さて、季節は秋を迎えホタルの話題も薄らいでいく。これから市の「作戦」はどう展開していくのだろう。お手並み拝見といきたいのだが「蛍雪の功」にあやかって「窓の雪」でも登場するのだろうか。ただし『雪蛍』というのはハードボイルド作家・大沢在昌の作品タイトルであるからして、著作権侵害にならぬよう気をつけねばなりますまい。ちなみに「蛍二十日に蝉三日」というのは、物事のはかなさをたとえた日本古来のことわざ。市長自身自らの今後の政治生命の長くはないのを予感しての「ホタルキャンペーン」でもあったのだろうか。
 
                             2007、8,31深更

 

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