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コスモ石油建設の発電所「補償金」6500万円
補償金が支払われたのは、羽津、富田、富洲原の各地区連合自治会。このうち羽津地区では、当時の会長(82)と同社四日市製油所長との間で、01年3月27日付で協定書を交わした。交渉は幹部数人のみであたり、数日後、会長名で新設した銀行口座に補償金2500万円が振り込まれたという。 協定書は、補償金の性格を「(建設に伴う)資機材の搬出入の交通対策と災害不安への補償」と位置づけ、「補償後は、何ら異議、求償などは行わない」「協定に関する一切について第三者に口外しない」としている。 補償金は、同連合自治会の会計には収入として記載されず、会員にも知らされないままだった。当時の会長から引き継いだ現会長が、昨年秋、加盟自治会の会長らに説明したことから発覚したが、多くの会員は今も知らないままという。 秘密にした理由について、当時の会長は「これまでも、様々な工事に関連して、同意した自治会の代表として住民から何度も訴訟を起こされており、これ以上の訴訟は避けたかった」と話す。補償金はほぼ全額残っており、会でまとまった資金が必要になった時に使うつもりだったという。 名古屋国税局は「自治会への支払いであれば、課税対象にはならない」としながらも、「自治会会計に記載されず、会員が3年近くも知らされないなら、会長個人への支払いとして所得税の課税対象と判断される場合もありうる」としている。 一方、富田、富洲原の両地区連合自治会は、羽津と同様の協定書を結び、同時期に各2千万円の補償金を受け取った。 富田地区は、約1年後に自治会長会議で経緯を説明し、受け取った補償金は現在もほぼ全額を保有。富洲原地区では受け取り後、地区内の自治会に分配したという。 コスモ石油四日市製油所総務課は補償金の支払いを認め、「工事や操業を円滑に進めるため、地元自治会と協力態勢を構築することが目的」と説明。「口外しない」などと明記した協定書については、「社会通念上の守秘義務として確認しただけで、口止め料のつもりはない。近隣の他の自治会からも補償を求められる事態を避けたいとの判断もある」としている。 同発電所(同市霞1丁目)は、00年12月に着工し、昨春完成。7月から営業運転している。石油精製で出る残油を燃料にする火力発電所で、発電出力は22万3千キロワット。「四日市に、これ以上発電所を増やすべきでない」などと、建設反対の動きがあった。
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