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来年の2002年7月24日は、四日市公害訴訟判決から数えて30年の節目の年となります。
公害訴訟判決によって四日市の公害状況は大きく改善されました。これは、四日市のみにとどまらず、国の公害行政をも前進させることにもなりました。
四日市は、1965年(昭和40年)の市単独の公害病認定制度発足ということもあり、戦後の大気汚染公害の原点の地となっております。
そうした四日市公害について、事実を知り、「二度と公害を起こさない」(市の快適環境都市宣言)のために、四日市にも「公害歴史資料館」が是非とも必要であると思います。
1.四日市市立・公害歴史資料館をつくってください。
2.水俣市にあるような、単独の資料館が望ましいですが、現状では、それは望むべくもないと考えられますので、当面は、既存の市の施設・建物で発足させてください。
3.現在、四日市市には、市の「環境学習センター」(本町プラザ4階)と、三重県の「環境学習センター」(市内桜町)の2つがあります。県は、「エコ共和国を目指す」とあり、市は、「紙すきなどリサイクル工作」(環境省・総合環境学習ゾーンモデル事業)とあり、いずれも、公害学習はとりあげられていません。
水俣では、市内に、市の水俣病資料館と県の環境センターの2つが、いわば、公害と環境を分担しあっています。
四日市においても、適当な既存の市の施設・建物がないときは、現在の「環境学習センター」を「公害歴史資料館」に転換してください。
「四日市公害歴史資料館」(本町プラザ内を想定)
1.本町プラザ4階の全面使用することと、本年度をもって終わる「四日市市史」の編さん室(6階)を、資料館別室として利用する。
2.資料館には、1992年7月に、市と博物館とで、「公害の歴史」展を開催した際に制作した、年表や写真などのパネルを使用するのと、市史編さん室の資料を使用することで、当面の学習は可能だと思われます。
3.現在でも、公害関係資料の収集、整理・保存は、なされていかなければならないと思います。したがって、6階の市史編さん室は、重要資(史)料の保存と、新たに出てくる資料の整理・保存の別室として、そのための職員を配置していただきたい。
4.昨年、公害学習(社会見学)で、四日市を訪れた小学校5年生は、市内を含め10校ほどあり、本年は既に県外より2校の中学校2年生の来四もあり、総合学習・人権学習ともあいまって年々増える傾向にあり、それらについて、資料館で受け入れるよう配慮してください。
5.四日市市はこの5月から、ホームページ「かんきょう四日市」で“公害資料館”の発信をはじめられました。従来、ともすると、公害については及び腰との感をいだかせていたが、このホームページは、充実した内容であると評価しています。
それだけに、ブラウン管で流れる資料、ナマの資料を手にとって、じっくりと学習したいと思います。
6.四日市公害は風化しています。忘れ去られようとしています。忘れ去ってしまえば「2度と公害を起こさない」は空文になります。
資料館で「語り部」(無料ボランティア)を募ってください。退職教職員・市職員とか、公害患者と家族、退職コンビナート工場従業員、あるいは公害運動に参加したことのある人、これから関心を持とうという人、などなど、語り部グループを設け、グループでの学習をやりながら、小・中学生や、来四する人たちへの、公害学習ガイドにあたってはと思います。
7.四日市公害を忘却の彼方に追いやってはいけないと思いますが、それについては、四日市の教職員・市職員、並びにコンビナート工場従業員は、これが四日市公害だという基本だけは知っておくべきであり、資料館をそうした学習の場として活用すべきだと思います。
8.「資料館を建てても見に来る人は限られる、いない・・・」といったことを市の担当課が言っておられるが、そうした消極的なことでなく、水俣病資料館は今や修学旅行の定番にもなっているようで、環境学習センターはどこにでもありますが、四日市公害学習のできるとこは「四日市公害歴史資料館」しかないわけで、伊勢志摩への観光客・修学旅行が落ち込んでいるいま、水俣病資料館と並ぶ修学旅行定番の地としての積極性を発揮されてはと思います。
9.市は、都市計画マスタープラン策定について「四日市市まちづくり市民円卓会議」を設けましたが、そこでの目標として、環境については「公害の歴史を再認識し、地球環境にやさしいまちづくり」を提言しています。
公害歴史資料館は、公害の歴史を再認識する場を保証・提供することになると思います。
10.市政100周年を記念しての「四日市市史」の編さん発行は、予定より遅れたようですが、平成13年度をもって終了するとのことです。
その市史編さんに当たって集められた史(資)料は膨大なものですが、きちんと整理され、公害関係資料は、全国の大気汚染地区での資料収集・整理・保存の見本となるべきものとなっています。
それだけに、これらの資料を眠らせてしまうことは大きな損失であり、是非とも、その利用・活用のためにも、資料館を設けていただきたい。
ISETTは公害防止技術の移転・研究をされていますが、公害被害・歴史の情報発信もなされなければと思います。
11.60年代から70年代前半にかけておこなわれ、公害の歴史の中で重くしるされている四大公害訴訟の中で、公害資料館が存在しないのは四日市だけになりました。大気汚染公害の原点の地であり、ぜひとも資料館をつくり、津地裁四日市支部に永久保存されているぜんそく訴訟の書類・書証などを備えるべく、裁判所に払い下げを働きかけてください。
12.環境学習センターを公害歴史資料館にしていただきたいとのお願いをしていますが、公害資料館になったから従来の環境学習はできないということにはならないし、していくべきだとは思いますが、四日市市内に同じ内容の県の環境学習センターがあるので、役割分担といったことはなされるべきだと思います。
参考資料
<熊本水俣病>
水俣市立・水俣病資料館パンフ(等)
・世界の人々に伝えよう 水俣病の教訓
・入館利用状況
・資料館条例
熊本県環境センター
あの“ミナマタ”が環境教育の拠点に「聖教新聞」
<新潟水俣病>
新潟水俣病被災者の会 会報
新潟水俣病資料館・基本計画まとまる
<富山イタイイタイ病>
イタイイタイ病対策協議会、清流会館しおり
展示・資料室
<四日市公害>
公害市民塾ホームページへのメールなど
・大学教員
・一市民の意見
市広報
・まちづくり市民円卓会議の取り組み
主な論点と目標
環境・公害の歴史を再認識し、地球環境にやさしいまちづくり
市ホームページ“公害資料館” 「四日市ホームニュース」
環境省 総合環境学習ゾーン モデル事業
全国84の学習拠点 一覧表
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