コスモ石油(株)の火力発電所建設計画について、
私たちはこう考えます
大協石油(現・コスモ石油)が、原油と製品タンクを建設する「原油及び製品タンク地域としますので、硫黄酸化物、窒素酸化物等の大気汚染物質を発生することはありません」として買った、霞の用地について、その約束をたがえ、タンクの建設をしないまま放置し、いまになって、中部電力へ売電するため、自社の残渣油を燃料とする火力発電所を建設するとして計画を進めています。
これについて私たちは、好ましいことではないと考えますので、火電建設計画の撤回と、タンクの新設をしないのであれば、製油所内の、とりわけ国道23号線に近いタンクを霞に移設することで、災害対策と、極端に低い5パーセントという緑地率を、いくらかでも拡大することを望みます。
T.土地売買契約について
1.霞用地は、原油・製品タンクを作る計画に基づいて、四日市港管理組合と大協石油(現・コスモ石油)との間で、1979年(昭和54年)3月31日に、「土地売買契約書」を結んでコスモ石油が取得したものである。
2.その契約によれば、コスモ石油は、3年後の1982年(昭和57年)4月に操業を開始することになっている。
3.また、契約書第1条は、甲(四日市港管理組合)、乙(大協石油・コスモ石油)両者は、「信義を重んじ、誠実に本契約を履行しなければならない」としている。
※『広辞苑』
[信義]約束を守り務めを果たすこと。信を守り義を行なうこと。あざむかぬこと。
[誠実]いつわりなくまめやかなこと。真心。まこと。
[履行]@実際に行なうこと。言葉どおりに実行すること。A[法]債権の内容を実現する債務者の行為。義務実行の方面から履行といい、義務消滅の方面からは弁済という。
4.その契約書の調印者、甲は、三重県知事として四日市港管理組合の管理者となっている田川亮三。乙は、大協石油株式会社取締役社長の中山善郎。それぞれ公・社印を捺し、15万円の収入印紙がはってある。
5.にもかかわらず、契約成立から19年、操業開始を明記してある事業計画から16年もたっているのに、用途契約された、原油と製品タンクは作られていない。
6.こうした契約違反について、公の四日市港管理組合は、この16年間、乙の大協石油・コスモ石油に対し、第1条に基づく契約履行(タンク建設)を迫った形跡がない。
※契約履行をせまった文書、もしくは口頭での控文書についての公文書開示請求に対し、(15年間に、について行なった勧告文書又は口頭によるものの控文書)に対し、「請求内容が記録された公文書については、存在いたしません」と、総務課長が「回答」している。
7.そもそも霞みの埋め立て地は、たった一つ残された市民の渚を、市議会での「強行採決」でとりあげ、公害訴訟の裁判と平行して埋め立てと第3コンビナート建設が進められ、判決の年に操業を開始するという、いわくつきの用地であるとともに、締結された契約書も何らかえりみられることもなく反故同然にされている。こんなことで、行政は、納税者の委託をうけての地方公務員、特別職は、無責任のまま推移していいのであろうか。
8.一方、買った側のコスモ石油も、一流企業を自認する株式会社として、恥ずるところがないのか。
9.甲、乙、両者のこうした行為は、市民をダマしていることであり、用途契約以外の火力発電所建設は、脱法行為に他ならない。
10.コスモ石油、港管理組合の両者は、売買契約をなぜ履行しなかったのかについて、市民が納得する内容の説明をすべきである。
11.第13条に「乙が第7条の規定に違反したとき、甲は契約を解除することができるものとする」とあり、甲は、解除の条件がそなわっているのに、そうしなかったのは何故か、明らかにすべきである。
U.コスモ石油火力発電所計画について
1.霞の用地は、火力発電所を作るということでは、過程の問題ではなく、現実の問題として、売買は成立しなかったことを銘記すべきである。
「公害を克服した」「公害は終結した」というのであれば、現在でも成立し得ないことであり、ましてや、CO2削減、地球温暖化防止を考えるならば、19年前よりも社会情勢は厳しくなっていると理解するのが常識というべきである。
2.(売買物件の使用制限)を決めた第7条の、但し書き、「社会情勢、経済情勢の変動、その他やむえない事由」によって、用途変更を認めてほしい(コスモ石油)、認める(港管理組合)、というのであれば、両者とも、あいまいな「社会、経済情勢の変動」という字ずらではなく、どういう状況で、どういう変動があるのか、その内容について、市民が理解できるよう具体的に説明すべきである。
ごく常識的に考えて、原油や製品タンクを作る(移設を含め)よりも、大気汚染物質の排出を増やす火力発電所を作るほうが理にかなっているという「社会情勢の変動」はないと思うが、あるとするならわかりやすく説明すべきである。
3.コスモ石油製油所は、私たちの疑問、質問に、まともに答えられず、回答に当たらない回答でごまかしている。これは、市民を納得させる自信の無さの現われであるし、その一方で、四日市港管理組合や県・市が、コスモ石油の思い通りに認めてくれるという、”企業と行政の「信頼」関係”の上にあぐらをかいているということだし、行政も側もそうした「信頼」関係保持を大事にし、市民との信頼関係には思いをいたしていない。
4.行政と企業の信頼関係ということでは、環境アセスメントをクリヤーすればいいとしているが、そのアセスは、専門家からも、「環境アセスメントは事業実施の結論が先にあって、それにあわせるだけの儀式になっているとして、”アセスメントではなく、答えをアワセメントではないか”とか、”環境への影響なしの証明を出すための免罪符ではないか”」*などといわれている。
コスモ石油の火力発電所アセスでは、そうした”アワセメント”となるのか、CO2排出についても格段の抑制がなされるのか、十分な検討がなされなければならない。
*島津康男『市民からの環境アセスメント』NHKブックス
名古屋大学名誉教授 環境技術研究協会会長
5.市民から見る環境アセスは、”アワセメント”である、は実感の持てる表現であるが、コスモ石油は現在、実施中である。にもかかわらず、この時期に、港管理組合は、火力発電所建設のためのようと変更を認め、母体の、県、市とも、それに理解を示すことは、公害・環境対策先進県、国連グローバル500賞受賞の市として、あまりにも安易、軽率のそしりをまぬがれない。
6.コスモ石油四日市製油所の緑地帯は、他の大工場に比べ格段に低く、わずか5パーセントである。私たちの質問に対し、「緑地の拡大は環境との調和からも、前向きに検討してまいりたいと考えます」と回答しているが、前向きにと字ずらだけのあいまいで言うのではなく、具体的に説明すべきである。
そういうことでは、売買契約どおり、新設計画がないならば、製油所内の、特に午起の国道23号に近い巨大タンクなどを移設すれば、公災害防止対策上、市民にとっても、行政にとっても、よいことであり、奏すべきである。
1998年4月24日
四日市再生「公害市民塾」
代表 松葉 謙三
四日市港管理組合 管理者 北川正恭様
コスモ石油(株)代表取締役 岡部敬一郎様
三重県知事 北川正恭様
四日市市長 井上 哲夫様