公害犠牲者慰霊祭 追悼の辞

 本日、ここに四日市公害犠牲者遺族の会並びに四日市公害認定患者の会の主催のもとに、公害犠牲者慰霊祭が執り行われるにあたりまして、 謹んで追悼の言葉を申し上げます。

 顧みますと、四日市市では昭和30年から40年代前半にかけて、我が国の経済発展を象徴するかのごとく、石油化学コンビナートの建設が進められ、全国でも有数の工業都市として、歩み続けて参りました。しかし、こうした繁栄の一方では、コンビナート野操業に伴う硫黄酸化物の排出により、大気汚染が発生し、その対策の立ち遅れから、いわゆる「四日市ぜんそく」と呼ばれる呼吸器疾患が発生して、多くの方の健康を害し大きな社会問題となりました。

 平成10年度においても、残念ながら、33名の方が他界され、ここに眠っておられる犠牲者の方々は、732柱となりました。まことに痛恨の極みでございます。

 今、私たちに課せられた使命は、公害の再発を未然に防止するとともに、病気と闘っておられる患者の方々の健康の回復に全力をあげることであり、それこそが、ここに眠っておられる犠牲者のみなさまをお慰めできる唯一の道であると考えております。

 ここに私どもは、今後とも大気汚染の防止や被害者などの救済など、様々な施策を推し進め、二度とかかる不幸な歴史は繰り返してはならないと決意いたし、いっそうの努力をしてまいることをお誓い申し上げます。

 犠牲者のみなさまに置かれましては、どうか安らかにお眠りくださるよう、心からご冥福をお祈り申し上げまして、追悼の言葉といたします。

平成11年7月24日 

四日市市長 井上哲生