環境教育の源流は、公害教育 「四日市は公害学習の原点」

 今年も、四日市公害学習シーズンの10月11月、三重県内の小学校5年生が、担任教師の「社会見学のしおり」を持って、四大公害裁判(社会科教科書の単元)の一つ、“くさい魚とぜんそく”に代表される四日市公害学習で四日市を訪れています。


 「四日市公害学習は、現地である四日市でおこなうことに深い意義があるのです」5年生の付き添いでこられていたある小学校の校長さんが言っていた。かつての公害激甚地の磯津を訪れ、磯津育ちの漁師でもある公害訴訟原告患者の野田之一さんに、磯津のこと、対岸の知多半島、そして、中部空港埋立地などについて説明を聞いた。
 塩浜小学校では、野田さんが「何でも言い、質問してくれ」と、子どもたち一人ひとりの質問に答え、榊原や西柘植のように自然があるところがうらやましいと言ったあと、「四日市にはいい自然があるやろうと言ってみたい」と結んでいた。


2002年9月〜2002年11月 社会科(公害学習)見学

曜日
小学校
9/27
亀山市立井田川小学校
10/9
松坂市立第二小学校
17
伊賀町立西柘植小学校
23
明和町立御糸小学校
25
四日市市立山手中学校
29
上野市立中瀬小学校
11/5
四日市市立塩浜小学校
久居市立榊原小学校
上野市立久米小学校

 

 環境教育の源流は“公害教育”、その原点は四日市公害、四日市公害教育はどうだったのか、どうなければならないのか、改めてそのことについての調査研究を論文にまとめ、大学院生が、今年12月、ドイツのフンボルト大学での国際大会で講演(英語)します。

 「公害を克服しました」「二度と公害の過ちを犯さない」「これからは環境の時代です」「環境教育、環境学習を・・・」

 こんな言い方を聞くと寒気がします。なんとあさはかな・・・と思ったりします。何をもって「克服」というのだろうか。「環境教育」ってなんだと思っているのだろうか、などなど・・・・。

 「公害」という、環境破壊、人間破壊があり、そうした事実の上に立って、ノーモアヨッカイチ・公害のあやまちをくり返さない環境教育・学習が出てきたことを無視してはならない。つまりは、公害の事実・歴史を知らないで、ふまえないで、何が“環境教育“か“環境学習“かであり、ましてや公害の原点である四日市においてやである。

 公害教育研究の大学院生は、昨年から何回となく四日市に足を運び、かつての公害教育に携わった教師OBや現役とか、野田一之(公害訴訟原告患者)さんなどに会って話を聞いたり、資料集めをやり、今年7月の判決30周年の集いに参加、秋に、塩浜小学校で公害学習にくる県内各校5年生を観察・見学とか、学校へ帰ってからの教室での授業参観と、よくぞここまで熱心に取り組めるものだと感心している。その成果は、ドイツでの国際大会で十分発揮されるだろうと期待している。