リストマーク 名古屋大学での四日市公害・環境シンポジウム

被害者側不在の四日市公害シンポジウムとは何?これが環境学?

澤井余志郎

 

 「名古屋大学で、いま四日市公害を、へえー・・・」よくぞやってくれたな、それにしてもなんでやるようになったのかな。」と思った。

 理学・工学・社会科学系が融合する形で大学院が設立され、国内最大の環境系大学院となったこと。温故知新、日本の環境問題とその克服への努力の原点ともいえる四日市公害を取り上げ、4人の当事者(玉置泰生、鶴巻良輔、吉田克己、橋本道夫)の方に登場願い、四日市公害の克服と四日市再生の歩みを検証し、ここから未来へとメッセージをくみ取ろうと思います。・・・・

 シンポジウムの企画は以上のことで立てられ、「四日市での厳しくしかし貴重な経験を・・・21世紀を環境の世紀としていこうではありませんか」とくるにおよんで、なんと、なんと、・・・・これが学問なのかと、申し訳ないが、あきれてしまった。

 四日市公害は、「このままでは死ぬしかない」公害患者が裁判を起こし、勝訴することによって改善させるようになった。当時最前線で命をかけて取り組んだのは被害者(住民)であるのに、企業と行政という加害者だけで行う四日市公害シンポジウムとはいったいなんだろうか。こうした学問が21世紀を環境の世紀にしていくとしたら悲しい限りである。