公害健康被害補償法改正(公害病認定制度廃止)について

指定地域首長が、中曽根康弘首相に提出した意見から

加藤寛嗣・前四日市市長が提出した「意見書」

 公害健康被害補償法改正は、公害健康被害者に対する医療や生活安定にとどまらず、市民各層に公害防止の重要性を認識させるに大きな役割を果たして参りました。
 本誌の大気汚染は、移動発生源による影響あるものの、固定発生源対策の推進により著しく改善されてきました。健康被害者数も、新規発生数の減少等により漸減しております。
 しかし、第一種地域の指定解除は、制度の根幹に関わる問題であり、健康被害者並びに地域住民に、将来に対する不安や危惧の念を抱かせております。
 したがって、今後やむを得ず第一種地域の指定を解除されるにあたっては、次の事項に格段の配慮をお願いします。

  1. 過去の高濃度汚染に曝露された未申請の健康被害者もおり、今後も大気汚染を原因とした慢性閉塞性肺疾患の患者発生の可能性も否定できない。また、慢性閉塞性肺疾患は治癒しにくい疾病であります。かかる状況に鑑み、国民の健康を回復・保持・増進させる立場から、難病の指定を行うなど、別途の処置を講じられたい。

  2. 既存健康被害者に対する認定の更新・障害の程度見直し等の審査基準、補償給付の内容などの取り扱いを従前通り継続し、その保護に万全を期されたい。

  3. 既存健康被害者の高齢化が急速に進んでおり、集団を対象とした転地療養事業等に加え、個人を対象とした家庭療養指導等の重要性が増している。
    したがって、地域の実態に即して公害保険福祉事業のいっそうの種類拡大、内容の充実を図られたい。

  4. 大気汚染と慢性閉塞性肺疾患の関係について、科学的知見の収集とともに、複合汚染影響等、幅広い調査研究を継続し、その解明を図られたい。
    地域人口集団の健康状態が、大気汚染との関係で悪化したさいには、速やかに公害健康被害補償法に基づき、所要の処置・補償を講じられたい。

  5. 新規健康被害防止事業および環境保護サーベイランシステムは不明確であるため、早急に実効性のある具体的施策を構築し、実施されたい。

  6. 今後とも、大気汚染が再び悪化することのないよう固定発生源対策に万全を期し、移動発生源対策として排ガス規制の強化、環境改善事業の実施等をなお一層推進いただくとともに、より積極的に快適環境の創造に努力されたい。

公害指定地域介助45自治体が否定的「是認」首長、6人だけ。

四日市市と、三重郡楠町、三重県は、反対せず。

指定地域解除に同意しないしていの自治体が圧倒的に多いのに、国(環境庁)は、「方針通り」と、
1988年(昭和63年)3月以降、新規認定患者申請をできなくしてしまった。