四日市公害について考える
四日市公害の真実はすべて“公害ぜんそく裁判”に凝縮されている
◇提訴にあたっての、四日市公害訴訟弁護団の意見
死者まで出しながら、四日市市は第3コンビナート作りを進めている。憲法第25条は亜硫酸ガスのなかで死んでいる。その責任を誰も負うことなく、被害が進行している。この無責任状態に先ず終止符を打たせよう。現実の被害に対し、一刻も早く、直接の加害者企業から当然の賠償をさせることによって、もって行き場のない混沌の中に、責任追及の一筋の道を切り開こう。もっとも素朴勝つ単純な、直接の加害者への不法行為責任の追及というたたかいをとおして、国や自治体の施策の根本も俎上に上がらざるをえなくなるだろう。
◇公害患者(入院)原告のねがい
工場がくるまでは磯津にぜんそく患者は数えるほどしかいなかった。体重100キロもあるわしも、わしの家族にも、ぜんそく患者はおらん。これは工場のせいやで、工場へなっとかせいって言いに行ったら、
「うちじゃない。」
隣の工場へ行っても
「うちじゃない」。
それで市へ行った。
「工場は、法規制をまもって操業している。どうにもならん。」
県へ行っても 同じ。
このままじゃ、ぜんそくはひどくなる一方で死んでかんならん。親戚や地域の人らは
「三菱を相手に勝てるか。そんな裁判起こしたら財産つぶす。」
と反対したが、敗けてもともと、敗けたらしょうがい死ぬだけや・・・・・・と、裁判に踏みきった。
◇裁判で“勝った”
裁判のなかで被告企業側は一貫して、
「国や県が決めた法規制をまもって操業してきた。なんかあったとしても我が社は関係ない。」
と言い続けてきたが、 判決は工場を加害者として断定した。行政の工場誘致の責任をも問うた。
勝訴の結果として
▽硫黄酸化物の総量規制
▽磯津地区の患者・遺族140人に対し、直接交渉で補償金
▽磯津以外の患者・遺族に、四日市公害対策協力財団による補償
▽国が、公害健康被害補償法施行(全国41の大気汚染地区)
▽工場立地法制定(20〜25%の緑地帯確保)
◇公害裁判を起こさなかったら・・・
公害裁判を起こさなかったら、裁判に敗訴していたら、四日市のみならず、全国の大気汚染地域の人々は(公害列島)は、もっともっと、ひどい目に、長いこと、痛みつけられた。
※海の汚染についても、四日市海上保安部が、工場の垂れ流しを摘発
刑事裁判で有罪にしなかったら、海はもっともっとひどく長いこと汚された
公害学習について
塩浜小学校は、磯津とともに、四日市公害原点の地であり、公害教育・学習の聖地である。
現在使われている、四日市市教育委員会の、小学校3,4年社会「のびゆく四日市」に、公害裁判の記述はない。市教委の事実認識・歴史認識はまるでなっていない。あきれ果てるとともに怒りさえおぼえる。
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