地球温暖化防止からみた四日市公害裁判の意義

  「四日市公害裁判の勝訴があったからこそ、今の四日市があるし、日本の公害列島を再生に向かわせた。」四日市公害に詳しい沢井余志郎氏は言う。
 判決後、大気汚染防止法が改正され、総量規制が取り入れられるようになった。三重県は国が決める基準よりも、より厳しい基準を定めた条例を定めた。ぜんそくの原因になった硫黄酸化物(SOx)の排出量の上限が、各工場ごとに定められるようになった。

 「そうした先駆的な公害対策が、地球温暖化対策のヒントになる」と、立教大の淡路剛久教授(環境法)は評価する。(京都新聞より)
  また、地球温暖化防止京都会議に向けて、「地球温暖化防止法制定の提言」をまとめた京都弁護士会の寺田武彦弁護士は「四日市で効果を発揮した総量規制の手法が、地球温暖化防止に応用できないかと考えた」(京都新聞より)と言う。

 規制を強化しようとする動きに対する反発も強いが、「人の生命・身体に危険のあることを知リうる汚染物質の排出については、企業は、経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずべきである。」という四日市公害判決の教訓をここで生かさなければならない。
 最近、二酸化炭素(CO2)などの排出量の規制に、抜け道を残そうとする動きが活発化している。森林が二酸化炭素を吸収するので、その分を十二分に考慮しようというものである。
 煤煙防止法や旧大気汚染防止法が抜け道だらけのザル法だったため、市民があんなにも苦しまなければならなかった。地球規模で公害を考えるのならば、なおさら、抜け道などは考えられないはずである。

 

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