被告昭和四日市石油、三菱油化、三菱モンサント化成、三菱化成工業、中部電力、石原産業は各自連帯して原告塩野輝美ら十二人に対し計八千八百二十一万一千八百二十三円を支払え。
この判決は仮に執行することができる。
一 原告らは、四日市市南東部の通称磯津地区の住民であリ、被告ら工場は、鈴鹿川をはさんで磯津地区の西北西ないし北東約四○○ないし二、六○○メートルの間に所在し、石油精製、石油化学製品・化学肥料・酸化チタン等の製造、火力発電などの企業活動をしている。
1 わが国の石油化学工業は、近代的な石油精製施設を前提として、ここから得られるナフサをおもな原料としているが、その工程は、流体物質を原料とするため、経済的技術的に同一地域内に原料供給部門から各種誘導品製造部門までが体系的・集約的に建設され、各工程間の原科等の供給をパイプで行なうのが合理的である。
しかし、各工程を一企業で行なうのは資金的に困難なので、いくつかの企業が集まって一つの生産上の体系を形成するところとなった。
このようにして、企業集団―コンピナートの出現は、石油化学工業の生成と発展においていわば必然的であった。
2 四日市においては、旧海軍燃科廠跡の払い下げをめぐって各企業間に激しい競争が行なわれたが、昭和三○年に被告化成を筆頭とする三菱グループとシェル石油と資本提携をもつ昭和石油(株)とに、石油化学工業建設の用に供する目的で払い下げられることとなった。
これよリ先、被告化成は、昭和二七年モンサント・ケミカル社との合弁で被告モンサントを設立したが、右払下決定後の昭和三一年四月、他の三菱グループ各社と共同出資してナフサセンターとしての被告油化を設立した。
さらに、昭和三二年に昭和石油とシェル石油で七五パーセント、三菱グル−プ二五パ−セントの出資で被告昭石を設立した。
被告中電三重火力は昭和三○年に建設されたが、四日市第一コンビナ−ト工場群の需要の増大に応えるため、逐次、発電能力を増強していった。
3 被告ら工場は、相互に原料等を供給し、その大部分はパイプによってなされているが、これは、単に輸送の便宜のためにとどまらず、パィプによることが不可欠ともいうべき受け渡しについては、当該被告ら工場が生産活動の面で機能的に緊密に結びついていることを示す。この観点からみると、特に、被告昭石・油化・化成・モンサントの機能的な結合関係が緊密である。
右被告三菱三社は、そのほか資本的人的関連がみられ、かつ、被告油化から他の二社へその工程において必要な蒸気がそれぞれ相当量送られ、または送られていたのであって、右三社の結合関係は、これらの点からも、きわめて緊密である。
4 コンビナートに属するといわれることは、共同不法行為の関連共同性を考えるうえで指標となるものであるが、コンピナートが発展すると、その包合される工場の範囲は必ずしも明確ではなくなリ、また、同じコンビナ−ト構成員といわれても、その結合の程度は異なるから、右関連共同性については具体的な結合関係に即して判断しなければならない。
1 被告ら工場は、その企業活動を行なうに当リ、それぞれ施設を稼動して原料や燃料を使用し、これに伴って、いおう酸化物等のばい煙を大気中に排出してきた。
そのうち重油等を燃料として使用した過程のみに限っても、昭和三五年ころから同四二年まで被告ら工場の排出したいおう酸化物の量は、約二三万七、一五二トンに達する。
2 三重県立大学医学部は、昭和三五年一一月から四日市市内の大気汚染の測定をしたが、そのうち磯津地区における昭和四二年までのいおう酸化物の測定結果を、六か月ごとの平均をとってみると、○・○五ないし○・一四ppmである。
右測定結果を、いおう酸化物の環境基準値の年平均値と比較すると、比較的濃度の低い五月から一○月までの期間でも右基準値を上回リ、一一月から四月までの平均値は、二ないし三倍近い値を恒常的に示してる。
3 磯津地区における汚染の特徴として、冬期に濃度が増大し、風速が比較的速い四ないし八メートルのときに高濃度の出現頻度が多くなること、濃度の振幅の大きいピーク性汚染が生ずること、およぴいおう酸化物中の硫酸ミストの占める割合が他の汚染都市に比ぺて多いことが挙げられる。
4 磯津地区の大気汚染は、被告ら工場のばい煙が主な原因である。その理由は次のとおリである。
イ 被告ら工場は、磯津の西北西から北東方にわたり、これに近接して所在する。
ロ 被告ら工場を中心とする第一コンビナート工場群が本格的操業にはいったのは、昭和三三ないし三五年ころであるが、四日市で大気汚染が問題にされ、市政の中にとり上げられたのが昭和三五年であリ、両者は時期的に符合する。
ハ 磯津地区におけるいおう酸化物鰻度の経年変化と被告ら工場の排出いおう酸化物量の経年変化とが、資料の存する昭和三六年から四二年までの間において、よく対応している。
ニ 磯津地区では、被告ら工場の主風向下になる冬期において、いおう酸化物濃度が高くなり、反対に被告ら工場の北ないし西方にこれに近接して所在する三浜小学校では、右工場の主風向下になる夏期にいおう酸化物濃度が高くなる。
ホ 四日市におけるいおう酸化物等量線は、磯津地区など被告ら工場に近接した地域に高濃度を示し、そこから遠ざかるに従って濃度がてい減している。
へ 汚染の特徴として、比較的風速の速い時にピーク汚染が現われるのは、コンビナート関係工場の大容量燃焼施設が集中して設置されているため、ばい煙があまり拡散稀釈されないまま主風向に従って競合して流れる、特に比較的風速の速い時に建屋等の風下側に減圧空間を生じ、各工場の排煙が巻き込まれて排出源のよリ近傍に集中的に流れ出るためであると考えられる。
1 昭和三七年ころから厚生省、三重県、四日市市の委託等によって、三重県立大学医学部産業医学研究所が主になって四日市市の疾病について疫学調査をした。そのおもなものは、次のとおリである。
イ 四日市市内の種々の汚染段階の地区を選び、国保請求書によって各疾病の罹患率を調査した。
その結果、いおう酸化物濃度が高い地区ほど感冒+気管支炎、咽喉頭炎、気管支ぜんそくの累積罹患率が高くなることが認められ、また、これら疾患の経年変化をみると、昭和三六年以降上昇しており、年齢別には、幼・高齢層に大気汚染の影響がよリ大きいことが認められた。ロ 厚生省が昭和三九年ころ大阪と四日市において、汚染地区と非汚染地区の四○歳以上の住民を対象として行なったばい煙等影響調査の結果によると、慢性気管支炎症状の有訴症率は、男女とも汚染地区が高く、統計上有意の差が認められ、息切れ・ぜんそく様発作の頻度においては、特に四日市において汚染地区に高い有訴症率が認められた。
右に準じて行なわれた産研・四日市市共同調査においても、同様の結果が認められたが、ぜんそく有訴症者については、汚染地区において五年以内に発病した者の割合が非汚染地区のそれに比べて高率であった。ハ 学童検診の結果では、汚染地区にある小・中学校の生徒が非汚染校の生徒に比べて気道抵抗が高く、急性呼吸器疾愚による欠席率が高く、呼吸機能の低下傾向が認められた。ニ 死亡率調査の結果、閉そく性肺疾愚(慢性気管支炎、気管支ぜんそく、肺気腫)による死亡率は、汚染地区において昭和三八年ころから急激に増加して、非汚染地区のそれを上回ってきている。ホ 磯津の開業医のカルテによる調査およびこれに基づく集団検診の結果によれば、磯津地区においては、気管支ぜんそく患者の発生率が異常に高く、そのうち多数の者がコンピナート稼動後の発病であることが認められた。へ 公害病認定患者で他に転出した者の病状を調査した結果、大多数の者が経過良好であリ、転地効果が認められた。
また、昭和三五年以後に発病した患者については、空気清浄室の効果が認められた。
2 低濃度いおう酸化物が慢性気管支炎、気管支ぜんそくの原因として作用する機序が、生物学的に矛盾なく説明される。
そのうち気管支ぜんそくについては、いおう酸化物のピーク汚染による過敏性気管支の惹起、あるいは、硫酸ミスト等が気管支粘膜を破壊して抗原性をもち抗体産生が高まり、再度いおう酸化物を吸入することによって抗原抗体反応を起す、と説明されている。
3 亜硫酸ガスは、ばいじん等の他物質と共存することによって、人体への影響力が相乗的に強められる。
また硫酸ミストは、亜硫酸ガスに比べて人体への影響力がずっと大きい。
また、いおう酸化物の人体影響は、すでに閉そく性肺疾愚に躍憩している
既有症者によリ強い影響を及ぼす。
4 動物実験では、カニクイザルやモルモット等を使用した一部否定の実験例もあるが、マウスやラットを用いて、低濃度亜硫酸ガスの慢性暴露により気管や肺組織等に影響を認めた例、汚染地区での野外暴露実験で軽度の気管支炎の罹患等を認めた例、モルモットを用いたぜんそく発作の実験でいおう酸化物の影響を認めた例、人体実験で亜硫酸ガスによる気道抵抗の噌大等の影響を認めた例がある。
5 以上の調査研究の結果によれば、四日市市、特に、磯津地区において昭和三六年ころから閉そく性肺疾患が激増したことは紛れもない事実であるが、その原因は、いおう酸化物を主にして、これとばいじんなどとの相乗効果をもつ大気朽染であると認められる。
このことは、右大気汚染以外に、右疾患の激増という動かし難い事実を説明しうるよリ良い仮説が存在しないことによっても裏付けられる。
6 閉そく性肺疾患の原因に関係のある因子は、大気汚染のほかにも多数あリ、各因子の疾想に及ぽす影響も区々であるが、大気汚染と原告らの罹患または症状増悪との間の因果関係としては、大気汚染がなかったなら、原告らの罹患または症状増悪がなかったと認められるか否かを検討する必要があり、かつ、それでたりる。
そして、原告らおよび亡今村善助・瀬尾富子は、いずれも閉そく性肺疾患に罹患し、または、これによリ死亡しているが、同人らは、いずれも長年の間、磯津地区に居住し大気汚染にさらされてきた者であって、磯津地区集団のもつ疫学的特性をそなえている以上、大気汚染以外の罹患等の因子の影響が強く、大気汚染の有無にかかわらず、罹患または症状増悪をみたであろうと認められるような特段の事情がない限り、大気汚染の影響を認めてよい。
そして、原告らについては、ハウスダスト皮内反応、家族歴をはじめ喫煙等大気汚染以外の因子は、いずれも大気汚染の影響を否定するにたりるほどのものではないことが認められ、これらの事実に担当医師の証言を総合すると・同人らの右疾患の罹患および症状増悪の主要因子は、前記のような大気汚染であると認められる。
1 狭義の共同不法行為における各人の行為と結果との間の因果関係については、各人の行為が、それだけでは結果を発生させない場合においても他の行為と合して結果を発生させ、かつ、当該行為がなかったならば結果が生じなかったであろうと認められればたリる。
そして、共同不法行為の被害者において、加害者の行為の間に関連共同性があることと共同行為によって結果が発生したこととを立証すれば、加害者各人の行為と結果発生との間の因果関係が推定され、加害者において各人の行為と結果との間に因果関係が存在しないことを立証しない限リ責を免れない。
2 関連共同性については、客観的関連共同をもってたりると解されている。
右客観的関連共同の内容は、結果の発生に対して、社会通念上全体として一個の行為と認められる程度の一体性あるを要し、かつ、それでたりると解されるが、本件の場合は、磯津地区に近接して、被告ら工場が順次隣接して旧海軍燃料廠跡を中心に集団的に立地し、時をだいたい同じくして操業を開始し、ばい煙の排出を継続していることによってこれを有すると認められる。
また、各人の行為が、それだけでは結果を発生させないが、他の行為と合してはじめて結果を発生させた場合、関連共同性の内容として、他の原因行為の存在およびこれと合して結果を発生させることの予見可能性を要するが、被告ら工場は隣接しコンビナート関連工場として操業しているからであるから、磯津地区との位置距離関係、気象条件等からして、右の予見可能性があったと認められる。
3 右のような関連共同性をこえて、より緊密な一体性がみられるときは、ある工場のばい煙が少量で、それ自体としては結果との間に因果関係がない場合にも責任を免れないことがある。
被告油化、化成、モンサント三社工場は、前記のように一貫した生産技術体系の各部門を分担し、自社の製造工程に不可欠な蒸気を相当量他から供給を受けるなど機能的、技術的、経済的に緊密な結合関係を有し、他の生産活動を利用し合いながらそれぞれの操業を行なっている。
のみならず、前記のような設立の経過や資本的な関連も認められるのであって、これらの点からすると、右三社のばい煙の排出は強い関連共同性があり、自社のばい煙のみでは結果の発生との間に因果関係が認められない場会にも、他社のばい煙の排出との関係で結呆に対する責任を免れない。
4 被告昭石、中電、石原は、各自のばい煙の磯津到達量が少量で原告らの罹患等との間に因果関係がないと主張するが、認め難い。
また、被告化成、モンサントの同様の主張については、一応これを認めうるが、前記の理由で結局採用できない。
のみならず、同被告らの責任が右のような強い関連共同性に基づくものである以上、その分割責任の主張も理由がない。
一 戦前におけるわが国のいおう酸化物による煙害事件、亜硫酸ガスによる職業病とその研究例、外国における疫学的研究、日本公衆衛生協会の厚生大臣に対する生活環境許容値の答申などの事実からして、わが国において昭和三○年ころまでに、いおう酸化物によって気管支炎などの健康障害が起ることが知られるようになリ、その濃度として○・一ppmを越えると、右健康に与える影響が問題になりうることが認識可能であった。被告らの操業の内容、資力、設備等からすれば、被告らに右の予見可能性はあったと認められる。
二 石油を原料や燃科として使用し、その生産過程においていおう酸化物などの汚染物質を副生することの避け難い被告ら企業が、新たに工場を建設しようとするとき、特に、本件の場合のようにコンビナ−ト工場群として相前後して集団的に立地しようとするときは、事前に排出物質の質と量、排出施設と居住地区との位置距離関係、気象条件等を総合的に調査研究し、付近住民の生命・身体に危害を及ばすことのないように立地すべき注意義務がある。
また、右のような被告ら企業が操業を継続するに当っては、その排出するばい煙の付近住氏に対する影響の有無を調査し、右ばい煙によって住民の生命・身体が侵害されることのないように操業すべき注意義務があリ、特に、被告ら工場は、操業開始後、逐次施設を増大していったのであるから、なおさら、右の義務が要求されるといわなければならない。
被告らは、これらの調査研究をなさず、漫然と立地し、操業を継続した。
三 本件の場合は、被告ら工場のばい煙が複合して原告らに損害を生ぜしめたものであリ、被告ら工湯がそれぞれ排出基準を遵守していることが窺われることからすると、被告らが、それぞれ故意をもってばい煙の排出をしていたとまでは断じ難い。
四 不法行為の違法性については、被侵害利益などの被害者側の事情と侵害行為などの加害者側の事情とを総合較量し、被害者の被害が、社会通念上受忍すべき限度をこえないときにおいて、違法性が阻却される。
被告ら主張の行為の公共性、排出基準の遵守、揚所的慣行性、先住関係等の事由も、本件の被侵害利益が人の生命・身体というかけがえのない貴重なものであることを考えると、違法性を失わせるものではない。
五 結果回避のための最善(または相当)の防止措置を講じたか否かをもって、直ちに責任の有無を決するのは、損害の公平な分担という不法行為制度の目的に照らして妥当ではなく、他の要素をも総合して受忍限度をこえた損害があったと認められるか否かによって決すべきものである。
そうであるとすれば、前記のような本件被害の重大性からして、被告ら主張の最善の防止措置に前記事由を総合しても、原告らの被害が受忍限度内のものとは解し難い。
六 仮に、最善の防止措置を講じたときは免責されると解するとしても、人の生命・身体に危険のあることを知リうる汚染物質の排出については、企業は、経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずべきである。
被告らが右のような努力を尽したとは認め難い。
また、被告らが四日市に進出したについては、当時の国や地方公共団体が、経済優先の考え方から公害問題の惹起等に対する調査検討を経ないまま旧海軍燃科廠の払い下げや条例で誘致を奨励するなどの落度があったことは窮われるが、被告らの立地上の過失を否定するにたリない。
一 公害事件における賠償責任の特質として、第一に、被害者と加害者の立場に互換性のないこと、第二に、公害は付近住民にとって回避不可能であること、第三に、被害が広範囲にわたリ社会的影響が大きいとともに、企業側にとって賠償額が莫大になること、第四に、加害行為が企業の利潤追求の過程でなされるのに対し、被害者である付近住民は、右企業の生産活動から直接えられる利益は存しないこと、第五に、被害者の被害の平等性が挙げられているが、この理は本件の場合にも妥当する。
また、賠償責任を考えるうえでの本件疾患の特徴として、本件疾患は、肺気腫を除いて一般に可逆的であるが、根本的治療法がまだなく、対症療法によって苦痛を押えているのが現状であり、一旦、軽快して退院しても、大気汚染が継続する限リ早晩再入院を免れ難いこと等が挙げられる。
1 右のような公害事件の特質や本件疾患の特徴等からして、本件の場合は、労働能力の喪失自体をもって損害と認めるのが相当であり、また、全労働者の性別・年齢階級別平均賃金による原告らの損害額の主張にも理由がある。
2 原告らは、すべて塩浜病院に入院しているのであるが、原告らの一部の者は、入院中においても労働に従事し、病院側でも患者の病状等を勘案してこれを黙認していることが窺われ、主治医の証言や鑑定人の鑑定の結果をも総合すると、右入院中であることから労働能力が全くないとすることはできない。
3 労働能力の鑑定の結果に入院中であることから受ける制約を合わせて勘案すると、原告らの労働能力の喪失割合は、人により時期により異なるが、三○パ−セントないし一○○パ−セントであると認められる。
各原告らについて、昭和四○年七月一日以後の喪失利益を、将釆の分についてはホフマン式計算法により中間利息を控除して現在額を算定すると、原告塩野輝美八二七万二、二六五円、同中村栄吉七○九万三、二六○円、同柴崎利明一、一四一万六一五円、同藤田一雄七六一万三、八六五円、同石田かつ一三七万九、○九三円、同野田之一、八八七万五、五九六円、同石田喜知松三○二万二、二一三円、亡今村善助一三七万五、三○五円、亡瀬尾宮子七一五万三五二円である。
前記の公害事件の特質や本件疾患の特徴、原告らの被害の程度、過去および将釆にわたる長期間の肉体的精神的苦痛、家庭生活の破壊、その他本件証拠に表われた諸般の事情を総合すると、慰謝料として亡瀬尾宮子に対し五○○万円、亡今村善助に対し四○○万円、原告藤田一雄に対し三○○万円、その他の原告らに対し各二○○万円が相当である。
よって、被告らは、各自、原告らに対し、右喪失利益およぴ慰謝料の合計額にその一割の弁護士費用を加算した損害賠償金を支払う義務がある。