|
追悼のことば
歴史的な四日市公害裁判判決から、三十周年を記念する本日、ここに第二十回公害犠牲者合同慰霊祭を開催するにあたり、参列者一同、七百九十二名の御霊に心より哀悼の誠をお捧げいたします。
四日市公害裁判は、全国の公害被害者救済、公害発生源規制、そして環境アセスメントの法制化などの原点として、大きな成果をもたらしましたが、これも四日市ぜんそくで命を奪われ、また、発作や生活苦に心身をすり減らされてきた多くの方々の、尊い犠牲の上に獲得されたものであることを、改めて肝に銘じるものであります。
私たちの町に、このような人権を踏みにじり、故郷を変貌させる大きな事件を再発させてはなりません。わたしたちは、それを忘れないためにも慰霊祭を続けております。残念なのは、これほどの深刻な長い期間に亘る四日市公害を記念するものが、この慰霊碑だけという現状です。
わたしたちの子どもや孫たちが、過去の教訓に学び、それを生かして健康で元気な町を作っていくために、そして貴重な公害資料などを全国、世界の関係者の方々に役立ててもらうための資料館の必要を痛感しております。白砂青松の浜辺、菜の花の咲く田畑、虫たちや茸の豊かな里山などの復活の願いを含め、広く市民の希望、アイディア、熱意を結集した四日市独自の資料館実現をわたしたちは切望しております。
わたしたちの四日市が本当に住みよい町になるために、参列者一同、それぞれに努力することを、七百九十二名の御霊にお誓いし、追悼の言葉といたします。
平成十四年七月二十四日
四日市公害犠牲者遺族の会
四日市公害認定患者の会
代表 石田裕一
|
|